統計数理研究所様のキャラクターをデザインしました
2022年10月21日Design統計数理研究所様のキャラクターデザインの事例を紹介します。
統計数理研究所は、日本の統計数理研究の中心的な研究機関として、その発展のための先駆的役割を果たしてきた歴史ある研究所です。多岐にわたる分野との連携が特徴で、データに基づく意思決定のできる社会をめざしています。
今回、こちらの研究所のキャラクターの制作依頼をいただきました。統計数理に親しみを持てるきっかけとなり、様々なメディアや印刷物に使いやすく、研究所内でも愛されるキャラクターを考えてほしいとのことでした。完成したキャラクターは、子どもたちを対象にした統計数理の理解が深まるイベント「子ども見学デー」でお披露目したいとのプランでした。
インタビューによるヒアリング
コロナ禍により研究所への訪問は叶いませんでしたが、オンラインで3名の研究者の方にインタビュー形式でヒアリングをさせていただきました。ご自身の研究内容やモチベーション、人となり、統計数理研究所に入社した理由などをたくさん聞かせていただきました。
統計数理研究所には、数学、生態学など、多様なバックグラウンドを持った研究者の方が集まっており、理論に没頭する人もいれば、人が好きで社会調査に尽力している人もいるなど、研究内容も研究者の方々の人柄も多様であることがわかりました。また、歴史ある研究所で研究をする誇りを感じつつ、自由でのびのびと研究ができる土壌がある点も魅力と教えていただきました。
ラフ案の作成
インタビュー結果を念頭に、キャラクターのラフ案を作成していきました。統計数理研究所にはみなさんに可愛がられている3匹の猫がいるので、彼らをモチーフにキャラクターも3匹デザインすることにしました。その猫ちゃんの写真をいただき、まずは手足が白い靴下柄の猫を中心にシルエットの違う4つのテイストでスケッチをしました。
左から、くびれがなくころんとしたシルエット、擬人化したような手足のシルエット、等身が高く猫らしいシルエット、四角くデフォルメしたコミックテイストなシルエットを用意しました。このラフ案をもとに研究所の方々とディスカッションを重ね、左から3番目のシルエットに決定しました。
決定した基本のシルエットをもとに、三毛猫と黒猫のラフ案も作成しました。三毛猫の子猫はレンガに乗っています。これは19世紀最大の数学者とも言われるガウスがレンガ職人の家で生まれ育った生い立ちを元にしています。今回のキャラクターデザインにあたりガウスの生涯についても調べてみたのですが、彼の天才的エピソードの数々を知ることができてとても面白かったです。気になる方はぜひ調べてみてくださいね。
黒猫は、統計のフィールド調査を表現するために双眼鏡を覗き込んでいます。シルクハットは一様分布のグラフの形を意識しました。
キャラクターの性格の設定、ディティールの作り込み
ラフ案ができたところで、インタビューでわかった統計数理研究所の幅広い研究領域や人柄の多様性、研究所の伝統と自由な雰囲気を表現するため、3匹の性格を設定しながらディティールを作り込んでいきました。
- 靴下猫・・・好奇心旺盛でアクティブ。自由な発想を持つ。
- 黒猫・・・伝統を大切にする几帳面な性格。いつもキリリとしている。
- 三毛猫・・・恥ずかしがり屋であまり姿を見せないレアキャラ。コツコツした作業が得意。
この役割分担を元に素体をデザインし、コスチュームを考えていきました。
靴下猫には、正規分布の形をした帽子をかぶってもらいました。登山帽子らしくもあり、アクティブな印象になりました。また、子ども見学デーの名物であるサンプリング実験に使われる白と黒のBB弾を耳飾りに仕立てました。
Tシャツには統計数理研究所を表す「統」の字を入れ込めないか検討したのですが、最終的には既存の「統数研」の印章風のロゴを入れることにしました。
黒猫は伝統や几帳面さを表すためにタキシードに。インテグラルの形をしたステッキがポイントです。
三毛猫はぐっと小さいサイズにし、自分で積み上げたレンガに隠れている設定にしました。
その他、細かい点のブラッシュアップを繰り返し、キャラクターデザインの完成です!
愛着を持っていただけるよう、キャラクターの名前は会議に参加した方々に候補を出していただき、研究所の皆さんからの投票形式で決めました。結果、靴下猫はすーりん、黒猫はけいと、三毛猫はまちかという名前に決定!キャラクターの性格や特徴、イラストの使い方などを細かく定めたレギュレーション資料とともに納品いたしました。
キャラクター紹介は統計数理研究所のホームページにも詳しく掲載されていますのでぜひご覧ください。
その他のイラストカットの作成
幅広い広報物に使いやすいよう、キャラクターのイラストカットのバリエーションも作成しました。
こども向けのワークシートなど様々な場面で活躍していますので、統計数理研究所にお越しの際はすーりん、けいと、まちかを探してみてみてくださいね。
また、彼らのぬいぐるみの制作もディレクションさせていただきました。そちらは後日別の記事でご紹介させていただきます。
TAGS