おうちに馴染む「おまとめ防災フォルダー」と「避難所運営マニュアル」
2022年9月15日Design防災関連のマニュアルやマップをひとまとめにできる紙のフォルダーと避難所運営のマニュアルを制作しました。
便利でかわいい「おまとめ防災フォルダー」
はじめは住民の方に区の防災アプリなどの情報をお知らせするチラシのご相談でした。
しかし防災に関するチラシには課題があります。
- 今は必要がないからと捨てられてしまう
- とりあえずとっておくけれど、どこにしまったか忘れてしまう
- 防災に関する冊子やチラシを全て取っておいても、いざという時にどれを見ればいいのか分からない
これらの課題を解決するために、実際に収納上手な主婦の方に取材をしたところ、A4のプラスチックケースにまとめて収納して机の本棚にしまっているという意見を頂きました。
それをヒントに内側や裏面に必要な情報を掲載しつつ、防災関連の他の書類もまとめられる紙フォルダーを提案させていただくことで、クライアントの方からの「いざという時に活用されるよう、捨てられないものにしたい」とのご要望を叶えました。
本棚や玄関などにいつも置いておけるアイテムを目指し、ベージュ色をベースカラーに、麻布商店街をイメージした石畳や街路樹、赤い靴の女の子などをあしらったイラストで、住民の方々が親しみやすく、インテリアに優しくなじむトーンに統一しました。防災アイテムとひと目でわかるよう、防災の定番カラーである黄色や、懐中電灯、カンパンなどのアイテムも配置しています。
表紙を開くと、内側の耳にはこのファイルの活用のしかたと、防災に関するアプリのQRコードが掲載されています。
裏面は日頃の防災のチェック項目や避難前の確認事項などが簡潔にわかり、チェックマークを入れられます。クリアファイルではなく紙ファイルにしたことにより、鉛筆などで書き込みができる点もポイントです。
また、意外と使い方が複雑で混乱しがちな「災害用伝言ダイヤル(171)」の使い方をわかりやすく図示しました。「メッセージを残す」と「メッセージを聞く」のエリアをそれぞれ赤と青に色分けし、手順が混乱しないように工夫しています。伝言ダイヤルのためには相手の電話番号が必要ですので、電話番号リストもこのファイルに書き込める仕組みです。
内側や裏面も、ベージュに合わせて少しくすんだ色合いを利用することで柔らかい印象にしています。
こちらの防災フォルダーは六本木ヒルズなどで開催された防災イベントで配布され、ご好評をいただくことができました。
やるべきことがひとめでわかる「避難所運営マニュアル」
これまでの写真にも写り込んでいましたが、防災フォルダーと同時に「避難所運営マニュアル ポケット版」も作成しました。
避難所の備蓄品に入れていますので、発災時に避難所運営担当の方が備蓄品を開封したときに読めるものになっています。
避難所運営のマニュアルはもちろんどの地域もしっかりと用意されています。ただし、膨大なボリュームがありますので、すべてを読み込むのは大変です。さらに、避難所運営は役所の方ではなく住民の方が担当することも多くあります。避難所を開く際は初動でやるべきことがたくさんあり、発災時の混乱の中で運営を任された方がマニュアル内容を漏れなくこなすのは大変な作業になります。
そこで、区の方々と相談しながらマニュアルの中から特に重要な内容を抜粋し、折り目で区切られたページごとに項目をわけてわかりやすくまとめました。ひと目でそのページが何について説明しているかがわかるようイラストを添え、初動、初動の後、避難所のルールなど、必要なタイミングによって色分けもしています。チェックボックスがあるため、完了したタスクを確認することもできます。
避難所マニュアルは発災時に活用されるものですので、防災フォルダーのような優しい色合いではなく、わかりやすさを重視した鮮やかな配色としました。
防災関連のグラフィックアイテムへのこだわり
ルースヒースガーデンでは、行政・民間企業を問わず、防災関連のグラフィックデザインを数多く制作させていただいています。
防災関連のアイテムでも、私達が大事にしている「日常のここちよさ」と「情報のわかりやすい整理」へのこだわりを強く意識して取り組んでいます。
災害大国である日本にとって、防災への備えはもはや日常の行為と言えると考えています。日頃の対策が発災時の安心・安全につながるからこそ、親近感が持てるデザインで誰もが自然に防災に取り組めるよう工夫しています。
同時に、発災時には迷いなくやるべきことが把握できるよう、当事者の方からのヒアリングを繰り返して、複雑な情報をわかりやすく正確に伝える表現方法を追求します。
(公開できる範囲内とはなりますが、)今後も防災関連の事例をご紹介する予定です。
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